つれづれと雑文

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コロナ禍における我々教員の最優先タスクは「オンライン授業」では無い

唐突ですが,インテル入ってる」でおなじみのインテル社。押しも押されぬ,半導体の大手メーカーですよね。

 

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ポーン♪ポポポポーン♪

 

実はその昔,日本企業もインテル社のような半導体を作っていたのです。と言うか,むしろ世界の市場を牛耳るほどのシェアを誇っていた時代(1980年代)があったのです。自動車産業と並ぶ日本の基幹産業,とまで言われていました。それがどうでしょう。今や,各国の企業との競争に敗れ,壊滅状態です。最後の砦だったエルピーダメモリに,2009年に300億円もの公的資金が投入された挙句2012年に経営破綻したことを記憶されている方もおられるでしょう。

日本の半導体メーカーが競争に負けた原因としてよく語られるのが,「技術では負けていなかったが,戦略で負けた」という言葉です。当時の日本企業(日立・東芝など)は,高性能・高耐久の製品を追い求めるあまり,市場が求める商品を開発する努力を怠ったのです。

 

・・・なぜこんな話をしているかと言うと,コロナ禍真っ只中の現在(2021年8月下旬)における「コロナだ!→休校だ!→オンライン授業だ!」という世の中の主流の(?)動きが,私には全く同じに見えるからです。

つまり,担任の先生がオリジナルで作るオンライン授業は,本当に子ども(や保護者)から求められていますか?それは目的を達成するための最適な手段ですか?そもそもオンライン授業の目的は明確ですか?といったことを問いたいのです。

私にはとてもそうは思えません。勿論,オンライン授業に長けた先生もいらっしゃるでしょう。でも,現実はそうではありませんよね。「オンライン授業をやりなさい」って突然管理職に言われたけれど,どうしたらいいんだろう?何から始めたらいいんだろう?そういう先生が多数派なのではないかと,現場の教員として感じています。

 

じゃあどうしたらいいか?簡単です。自分でゼロから作らなくても,世の中にあるコンテンツを活用すればいいのです。たとえば私が勤務する茨城県には「いばらきオンラインスタディ」という県の教職員皆で作り上げたサイト(教科書の単元に沿った動画やワークシートが大量にあるサイト)がありますし,葉一さんのような教育系YouTuberだってたくさんいらっしゃるのです。 

www.youtube.com

 

そもそも,葉一さんよりクオリティの高い授業動画を作ることができる公立学校の教員なんて,日本に何人いるんだって話ですよね。

くどいようですが,ゼロから自力で作り上げることが全てでは無いのです。コロナ禍の今,自分が受け持っている子ども達の学びを止めない為に何に注力すればよいか(目指す方向)を考える,つまり戦略を考えることこそが大事だと私は考えます。戦術(≒手段)は後回しです。先ずは,戦略(目的の明確化)です。

 

私がこのような考えに至ったのは,この記事が大きく影響しています。2020年,あの一斉休校の最中に読んで,感銘を受けました。 

ict-toolbox.com

日本のように先生の授業技術や学級経営力ですべてを引き受ける感覚で伴走型を行うと、たちまちパンクしてしまうかしれないので、先生の負担や手段も組み直すことが重要です。単純な知識伝達や反復練習のチェックは既存の学習動画や学習アプリを活用して省力化し、その分、子どもの学習計画のペース配分づくりや声かけ、サポートなど伴走型に変えていくような組み直しをすることが大切でしょう。これらは先生だからこそできる仕事で、家庭でこうしたサポートができる親は限られています。(上記記事より引用)
 

 この記事では「戦術」のアイデアも豊富に挙げられていますので,是非ご一読いただければと思いますm(_ _)m

 

 

オンライン授業が最優先ではないなら何が最優先なんだ,と疑問を抱かれる方もおられるかもしれません。私の考えは,このツイートに記しました。

 

①「子どもたちとのつながりを絶やさないこと」を最優先にする。


②顔が見えないからこそ,子どもたちの様々な状況を想定する想像力を持つことを忘れない。


③いわゆる「オンライン授業」が全てでは無い。オフラインを含めた子どもたちの学び全体を,発達段階や実態に応じてマネジメントする意識が必要。 

 

 

覚えておられるでしょうか。去年(2020年)の一斉休校の時,多くの学校が大量のプリントを各家庭にポスティングした結果,「丸投げだ」との批判が数多く生まれたことを(参考記事)。だからこそ,①が最優先なのです。子どもとのつながり,その為の手段はZoomなのかTeamsなのかメールなのか電話なのか,ともかく顔が見えないぶんつながりを保つということに我々は注力すべきだと私は考えます。明確な戦略も無しに,「先生頑張って動画作ったから!学校のホームページにアップしたから!見てね!!」だけでは,プリントを投函して丸投げだと批判された去年と,構図が全く変わりませんよね。

(②については上記ツイートの中身をご覧ください。)③については,ここまで述べてきたとおりです。補足するなら,担任(教科担任制の場合は教科担当)にしか出来ないマネジメントってあると思うんですよ。「あの子にはこの動画がハマるかも」「あの子はこのサイトのクイズに絶対に食いつく」みたいな。そこにこそ,4月から学校生活を共にしたからこそ出来る個に応じた学びのマネジメント(実態によってはフォローアップ)にこそ,我々はエネルギーを注ぐべきではないでしょうか。

 

 

「ピンチはチャンス」とはよく言ったもので,私は今のこの状況をチャンスだと捉えています。今こそ,教師が教師たる専門性を発揮するときです。未曽有の事態に対応することで,我々教員も子どももレベルアップ出来る絶好のチャンスです。我々が,子どもや保護者に頼られる存在になるべきときです。大変なことも多々ありますが,共にそれぞれの現場において考え,行動していきましょう!!

 

長文,失礼しましたm(_ _)m最後まで読んでいただき,ありがとうございました。