つれづれと雑文

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「先生がつぶれる学校、先生がいきる学校」を読んで考えたこと(その1)

妹尾昌俊さんの「先生がつぶれる学校、先生がいきる学校」を読みました。

 

このブログの最初のエントリーに書きましたが,私は勤務校で「働き方改革プロジェクト」のリーダーを任されています。来年2月上旬に,2019年度に向けた提言書をまとめることになっています。そういった事情もあって上記の書籍を手に取ったのですが,考えることが多岐に渡りすぎてパンクしそうな為,アウトプットすることで自分の頭の中を整理したいと思います(笑)。

(以下,太字は前掲書からの引用

 

「若いうちはがむしゃらに働け」は正しいか(P112)

 

このタイトルの項で,妹尾さんは世に溢れた上記のような考えを「根性論」と切り捨て,問題点を3つ指摘されています。その中でも特に私が膝を打ったのが「生存バイアス」という問題点です。

 

学校や教育委員会であれ,企業等であれ,トップや管理職まで登っている人は,ハードワークを乗り越えられてきた人です。(中略)そういう生き残ってきた人たちだけ見ても,全体は見えません。途中で脱落した人やちがう道を歩んだ人の声が届かないからです。このように「生存バイアス」とは生き残ったものだけを見ることで,誤った現状認識や判断をしてしまうことを指します。

 

自分のキャリアをふり返ってみても,修羅場を経験して成長してきた部分は多々あると感じます。けれども,それが全てでは無いし,がむしゃらに働かないと成長しないなんてこともないのです(がむしゃらに働くことは成長の必要条件ではない)。特に,最近は(誰とは言いませんが)ツイッター上のインフルエンサーの影響で「成果を出したければ,寝ずに働け!」みたいなマッチョな働き方が推奨されているような風潮があるので,要注意です。彼ら彼女らも,成功者(しかも「大」がつくほどの)ですし。

 

<必要条件・十分条件

 

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受験のミカタ」より

(上記の例だと,必要条件が偽。果物にはバナナもイチゴもあるから)

 

でも,私は「(他者におしつけられたわけではなく)自分の意志で(=自分の人生理念に基づいて)」「周りに迷惑をかけずに」「体を壊さない程度に」がむしゃらに働く人の働き方を否定することはできません。そのあたりの私の考え方は,「プロの残業術」という書籍から強く影響を受けています。またこの本の紹介もおいおいしていきたいと思っています。

 

 

業務改善がなぜ重要なのかの意味づけが大事(P126)

 

いくら素晴らしい「働き方改革案」が出来上がっても,先生方に価値や意義を理解していただかなければそれは単なる絵に描いた餅にしかなりません。この項の内容を知れただけでも,この本を読んだ価値があると私は考えています。

 

①心身ともに疲れる,病気になる。倒れる。

②個人レベルでは,授業準備や自己研鑽(能力開発,教師としての学び)の時間が減る。組織レベルでも学習が減る。

③仕事の能率も下がり,ミスが起きやすくなる。子どもに接するときも,丁寧にできなかったり,ちょっとしたサインを見逃したりしてしまう。

長時間労働を厭わない,熱血教師だけが働ける職場となる。

⑤「ともかく長く働けばよい」と生産性やワーク・ライフ・バランスを軽視することが子どもに影響する。

⑥教員の仕事が不人気に。採用倍率低下ともあいまって低下。

 

どうでしょうか。現場の先生方は「わかるー!」と賛同いただけるかと思うのですが。

 

自分の経験を基に,順に見ていきたいと思います。

 

①心身ともに疲れる,病気になる。倒れる。

言わずもがな,ですね。「自分は大丈夫!」と思っていて,倒れる人をこの10年間で何人も見てきました。なかには,志半ばで教職を去った友だちもいます。その人のことを思うと,今でも胸が締め付けられます。

 

②個人レベルでは,授業準備や自己研鑽(能力開発,教師としての学び)の時間が減る。組織レベルでも学習が減る。

いわゆる「第2象限のタスク」(以前の投稿参照)の時間が十分に確保できない,ということですね。これは現場の先生方にも理解していただけるのではないかと考えています。ちなみに,私は弟が製薬会社で研究者をしているのですが,(当たり前ですが)勤務時間内に自己研鑽をする時間が十分に取れているそうです。羨ましいぃぃ!

 

③仕事の能率も下がり,ミスが起きやすくなる。子どもに接するときも,丁寧にできなかったり,ちょっとしたサインを見逃したりしてしまう。

 

これはいじめの早期発見に直結すると捉えました。私はいじめを初期に発見できず,対応が後手後手になってしまった経験がありますが,いずれもふり返ってみると研究発表大会の準備や校務分掌の仕事で自分がいっぱいいっぱいになっていたときでした。いじめのサインを見つけるためには,教師側にも余裕がないとダメだと経験からも思うのですが,いかがでしょうか。

 

次男がお昼寝から目覚めてしまったので,④~⑥はまた後日にm(_ _)m

最後まで読んでいただき,ありがとうございました。