「先生がつぶれる学校、先生がいきる学校」を読んで考えたこと(その2)
前回の続きになりますので,まずはこちらを
読んでいただけたらと思いますm(_ _)m
④長時間労働を厭わない,熱血教師だけが働ける職場となる。
職場の雰囲気って大事ですよね。私は昔システムエンジニアだった時代に,その日のタスクを終わらせ,19時ぐらいに用事があって先輩より早く帰ろうとしたら「えっ、もう帰るの?まだ半人前のくせに,偉くなったもんだねえ」と嫌味を言われたというトラウマ(笑)があります。今は笑って話せますが,当時はものすごく思い詰めました。今の若手の先生には,自分のような思いは絶対にしてほしくないと強く思います。
金八先生などのドラマの影響からか,「子どものため」という魔法の言葉のもと,長時間労働=善,という文化がまだまだこの業界は根強いと感じます。これから,団塊の世代が要介護になり,団塊ジュニアの世代が介護を抱えて仕事をする時代がやってきます。人手不足で若手をどんどん採用するということは,子育てしながら働く人数も増えるということです。ああ,書いててどんどん不安になってきた(苦笑)。
⑤「ともかく長く働けばよい」と生産性やワーク・ライフ・バランスを軽視することが子どもに影響する。
⑥教員の仕事が不人気に。採用倍率低下ともあいまって低下。
これは,どちらも子どもに悪影響が及びますよね。今の子どもだけでなく,未来の子どもたちにも。私はよく若手の先生方や教員志望の学生さんたちに,「これだけブラックって言われているのに,なんで教員やってる(目指してる)の?」と聞くと,よく返ってくる言葉が「自分が子どものときに魅力的な先生に出会って,自分もそうなりたいと思ったから」という答えです。現状の持続不可能な働き方を続けていけば,今以上に学校現場は疲弊し,そんな先生の姿を見た世代から教員志望者は減っていくことは自明であると感じます。
象徴的なエピソードを1つ。
以前勤めていた校長が,卒業間近の中3生全員と校長室で給食を食べる(数人ずつ,日替わりで)というイベントを終えた後に,職員会議で笑いながら放った一言が,
「先生になりたいっていう生徒が1人もいなかったんだよねー。理由を聞いたら,『忙しそうだから』だってさ!笑えるよねー!!」でした。
笑えない!
ちっとも笑えないよ!!
本当に背筋に悪寒が走りましたね,あのときは。そりゃあなたはいいでしょうよ,もうすぐ定年ですし。この校長は極端な例かもしれませんが,教育の将来への危機感が上の世代には圧倒的に足りないように感じます。茹でガエル感がすごいです。
教育とは少し離れますが,「茹でガエル感」を一気に取り払うのにおすすめなのが,「平成最後の夏期講習」における安宅さん(ヤフーCSO)のプレゼンテーションです。私はリアルタイムで視聴していたのですが,圧倒されました。この国の現状が本当によくわかる,素晴らしいプレゼンです。
(23分20秒~)
とまあ,この「先生がつぶれる学校、先生がいきる学校」を読んで,働き方改革は本当に待ったなしの状況なんだな,という思いを改めて強くした次第です。
でも,「このままじゃだめだ」「○○(行政,管理職など)が悪い」と愚痴っていても何も改善されません。できることからはじめないと。
「大きく考え,小さく実行」
かつて仕えた,上場企業の取締役の手帳の表紙に大きく書かれていた言葉です。「着眼大局,着手小局」とも言いますね。前回と今回の更新は「大きく考える」に重きを置きましたが,次回は「小さく実行」の部分について私見を述べていきたいと考えています。
今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。