「withコロナ社会」において学校の先生が出来ることについての考察③~私自身のこれまでとこれから~
※今回のエントリーは前回の続編なので,①②を未読の方はまずこちらをお読み下さいm(_ _)m
自分が前に進むために。
情熱を燃やして,手を動かし続けていくために。
このエントリーを書きます。
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前回のエントリーから月日が経ってしまいました。続編を楽しみにしておられた方,申し訳ありませんでした。そしてもう1つ謝罪を。これまでは名著「イシューからはじめよ」の枠組みに沿って論考を進めていきましたが,今回のエントリーは副題にもあるとおり,私自身(小学校の現場のいち教員)のこれまでの取り組みとこれからの取り組みについて主にまとめています。はっきり申し上げておくと,「イシューからはじめよ」の枠組みからは,外れます。田舎のいち教員の体験談なんて興味無い,という方はここでウィンドウを閉じて下さい。宜しくお願いしますm(_ _)m
それでは。
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今思えば,4月は楽しかったという記憶しかありません。コロナ禍の非常時において「楽しい」という表現は適切ではないのかもしれませんが,あの頃はとにかく楽しかった。新しいことを始めるワクワク,思う存分インプットに費やせる在宅勤務の時間,未来に広がる無限の可能性。勤務時間内は業務に取り組んで,定時退勤後(在宅の場合は定時になった瞬間)にブログの執筆をして。ブログの執筆で頭の整理をしつつ,業務で手を動かして,カタチにして。そうそう,ブログの続編も,実は書き始めていたのです。
「イシューからはじめよ」では,次のステップとして「絵コンテづくり」が示されています。「必要な分析のイメージを並べていったもの」とも説明がされていますが,何を分析すればよいかを考え,実際にFormsで学年の保護者にアンケートを取りました。
数字はお見せできませんが,私が担当する学年では,アンケートに答えてくれた子供達の多くは保護者と一緒に端末に触れ,パソコンやタブレットでは無くスマホを使っていることがわかりました。この結果から,キーボード入力を前提とした学習は難しいよね,じゃあどうしようか,といったことを考えていました。
上記のアンケート以外にもいろいろと手を動かしました。Flipgridを使って動画を配信したり,Formsでクイズを配信して回収したり。もちろん,うまくいかないこともありました。でも,小さくPDCAを回して,トライ&エラーを繰り返して,学年全体でテックの活用面で確かに前進している手応えがあったんです。
今日は学年職員で、校庭にてロケ。
— マッキー (@dan_makino) 2020年4月22日
Flipgridでクイズ動画撮って、Formsで回答フォーム作って、Teamsで学年スタッフでシェアして、管理職にメールで許可取って、保護者にメールで告知。
完全にMicrosoftの掌の上で踊っています😅
注釈👇 pic.twitter.com/CCYnDHGzcd
突然ですが,私の勤務先の自治体はJAET(日本教育工学協会)認定の「学校情報化先進地域」です。4月中旬には,行政主導で家庭のネット環境(端末,回線等)の調査もありました。ひょっとしたらルーターや端末の貸出も行政で行ってくれるかもしれない!(=公平性の担保という最大の課題がクリアできる!!)様々な追い風を受けて「テックを用いた教科教育」が進められる!そう,思っていたし,そのための準備も進めていました。
ですが。
結論として業務命令として降りてきたのは「全員にプリントの課題を郵送するための準備」,行政の支援策(税金の使い道)は「電話連絡のための電話回線増設」でした、、、
知れば知るほど無限に広がる,テック×教育の可能性。
ネット上を賑わせる,先進的な取組の数々。
それに比べて,自分ときたら。
偉そうなブログを書いておいて?
インフルエンサーの力をお借りして,のべ1500人以上の人に読んでもらっておいて?
実際に手を動かしてやっているのが宛先のラベル貼りやプリントの封詰めだなんて。
なにやってんだろ,俺・・・
理想と現実のあまりのギャップに,心がポキンと折れました。
ちょっと、休憩します。
— マッキー (@dan_makino) 2020年5月1日
もういっか,どうせ頑張ったって給料変わらないし。言われたことだけ,最低限,粛々とこなすか。正直,そんな腐った考えに陥っていたときもありました。
そんな私のよわよわメンタルに,ショックを与える出来事がありました。
それは,5月11日にあった,文部科学省からの発信です。
(見ていただきたい箇所からリンクを貼ってあります。ここから7分程,まだ御覧になっていない方は是非見てください。衝撃です。)
(自分はTwitterから離れていたので知らなかったのですが,相当バズったみたいですね)
キャプチャ画像。文字だけでもインパクト十分。
文字起こしのブログはこちら。
詳しくは守秘義務があるので言えませんが,実は私は過去に2年間,文部科学省のあるプロジェクトに関わっていたことがあります。年間で約40日,週末に10時から17時まで(時には夜まで)霞ヶ関で会議に参加していました。そのときに思い知ったのは文科省の方々の凄さ,具体的には視座の高さです。正直,それまでは「また無茶ばっかり言いやがって,文科省は現場のことが何にもわかっていないんだよなー」と思っていました(スミマセン)。ですが,直接的に,また間接的に内部の方々と一緒に仕事をさせていただいて,彼ら彼女らがいかに国全体のことを考えているか,そして公教育全体をより良くしていきたいと考えているか,痛感しました。自分はなんて視野が狭く視座が低いんだろう,と思わされる場面が何度もありました。2年間で,学校では絶対に出来ないような貴重な経験を,たくさんさせていただきました。
熱い話も,たくさんしました(主に酒席で)。教育にかける熱い思いは,立場が違っても同じなんだな。それがオモテに出ないのは,やっぱり“お役所”だから仕方ないのかな。そんな風に思っていたので,今回のこの情熱溢れる発信(発信と言うよりは”檄”ですよね,コレ)には本当に驚きました。あの文部科学省が,あんなクレバーな集団の課長(※)が,こんなに感情を露わにして話をするなんて。危機感,切迫感が伝わってきました。
(※課長って,言葉の響きだけでは中間管理職っぽく聞こえますが,官庁の課長って,実はすごく立場が上の方なのです。)
で,お前は何をどうするんだ?と。
どうやって形にしていくんだ?と。
1つは,こんな形で「アナログとデジタルのハイブリッド」の形を模索しています。
「QRコードを活用した学びのデザイン例」
— マッキー (@dan_makino) 2020年4月29日
とりあえずラフな図にしてみた。これは業務なので(笑),この後の時間でブラッシュアップします^^ https://t.co/2HfLZIgUzB pic.twitter.com/74mBku6SaB
具体的には,こんな形。
ワークシート内に出てくる「いばスタ(いばらきオンラインスタディ)」は,茨城県教育委員会が作成しているサイト。いわばお墨付きのサイトです。知識技能は言わばアウトソーシングして,見方考え方の部分については自作の動画で解説しました(Flipgridで,約3分)。
各所で言われていることではありますが,教師1人が全てを手作りする必要は無いと私も考えています。子供の「学びの全体像」をしっかりとデザインして,省力化できる部分は省力化して,その分浮いたエネルギーを大事なポイントに注げばいい。詳しくは下の記事にありますが,これまで学校というハコの中で実現できていた学びの要素を適材適所に分割していくという捉え方が必要なのだと思います。自分は,専門である算数を中心として,上記のような考え方をこれから具現化していきます。
また,勤務校では上の学年でOnenoteやTeamsの活用がスタートしているので,自分の学年でも導入できるような形を模索していきたいと考えています。
最後に,最近読んで印象に残ったブログを紹介させてください。
Build Back Better,「創造的復興」と訳されるようです。(教科教育に限らず)今の公教育に求められているのは,このマインド,コロナ前の状態に戻すというよりも,制度疲労を起こしまくっている公教育の現状を,これを機により良い状態にしていくんだという気構えなんだと自分は考えています。
・・・ちょっと前まで勝手に凹んでいた人間が何を偉そうに言ってるんだって感じですよね,すみません(苦笑)少なくとも私は,上記のような気構えを持って,目の前の子供達の為に,コツコツと手を動かして形にしていきます。仲間のみんなと。
もちろん,自分のメンタルを労りながら,ですけどね(苦笑)
これからも現場で手を動かし続けて,思考や成果などをブログにまとめていこうと考えています。いつになるか,はお約束できませんがm(_ _)m
以上でございます。
こんな長文且つ駄文を,最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m